ベンチャーCFOになるために必要な経歴は?企業価値100億円以上のスタートアップキャリア分析

 

大手企業からスタートアップへの人材流入がブームとなってからしばらく経つ。

この記事の読者には、スタートアップに勤めている人はもちろんのこと、

大手企業からスタートアップへの転職を考えている人や

スタートアップで働くことに興味関心の高い人も多いのではないのだろうか。

 

今回は、スタートアップの中でも経営幹部クラス「CxO」と呼ばれるスタートアップキャリアに注目していきたい。

経営を大きく左右するファイナンスを担うCFO (最高財務責任者) になるためには、

どのようなキャリアを歩んでいけばいいのか。

 

日本経済新聞が公開するNEXTユニコーン企業の情報を元に、企業価値100億円以上のスタートアップのCFOを分析していく。

 

 

CFOの役割とスタートアップの雇用タイミング

 

通常、スタートアップがCFOを雇うのはシリーズB (ないしシリーズAに進んだタイミング) が比較的多い。

もちろん、スタートアップ創業初期からCFOがいる企業もいるため、一概にどのタイミングでCFO人材を求めるかはそのスタートアップや代表に左右される面もある。

CFOとは、最高財務責任者のことで、企業の財務戦略の構築から執行までを担う人材だ。

具体的にいえば、経理担当が行う通常業務はもちろんのこと、CEOに代わって資金調達の舵を切ったり、スタートアップにおける各ステークホルダーたちとの折衝を担当する。

また、上場を目指すスタートアップであれば、上場準備も携わることになるため、ファイナンス業務に関してオールラウンダーである必要が非常に高い。

(CFOの業務や必要スキル、歓迎スキルについて詳しく知りたい方はこちらをチェック)

そのため、経営を大きく左右するポジションでもあるため、スタートアップ側は慎重にCFOを採用しなければならない。

単に能力が高いだけの人材を雇ってしまったら、組織が崩壊して経営破綻に追い込まれるスタートアップも少なくない

また、カルチャーフィットしているから能力値が低くても社内で育成すればいいポジションでもない (CFOに関しては指導者が不在のため) 。

だからこそ、ある程度CFO業務の実務経験がある人材の方が望ましい。

とはいえ、スタートアップのCFOを経験したことのある人材はそう多くない。

後述するが、基本的に現在スタートアップのCFO職に就いている人は 金融ファーム での業務経歴をもつ人が多い。

一方で、目につく点といえば、どの人たちも経営企画で自ら事業を推進してきた人材が多いという点だ。

CFOになるためには、単にファイナンスの知識が高ければなれるものではない。
経理担当とCFOは単に勤務年数とスキルの違いと思われがちだが、CFOとつくからには、CEOと同等レベルの経営・事業を回していくスキルが求められるのである。

さて、前置きが長くなってしまったが、スタートアップCFOのキャリアについて分析していきたいと思う。

 

今回は、企業価値100億円以上のスタートアップのCFOが対象だが、

調査の結果48社中CFOを置いているスタートアップは24社であった。

そのため、今回は企業価値100億円以上のスタートアップ24社のCFOについて詳しく見ていきたいと思う。

 

 

スタートアップCFOの経験社数は全部でいくつ?

 

まずは、今を時めくスタートアップのCFOが現在のポジションにつくまでにどれだけの会社を経験してきたかを見ていきたい。

 

こうしてみてみると、現在のCFOポジションにつくまでにおおよそ2社経験してきた人が全体の40%と非常に高い。

また、CFO就任までに1社のみ経験している人も5人。

3社以上経験のある人が意外に少ないのが、このグラフを見てもわかるだろう。

2社ほど経験すれば十分にスタートアップのCFOを務めることができる、ということを示しているだろうが、どんな仕事でも大丈夫という訳ではない。

という訳で具体的にスタートアップのCFOになるまでのキャリアについて見ていこう。

 

 

スタートアップCFOになるまでのキャリア変遷

 

次に、項目別に具体的にスタートアップCFOがどんなキャリアを歩んできたのかを分析していく。

 

・経験業種別

 

 

事業会社での経験が多い中、外資金融での業務経験のあるCFOも多いということがわかる。

また、今を時めくスタートアップのCFOには、ベンチャーキャピタル(VC)での職務経歴をもつ人もいた。

そして、CFOには監査法人出身の人が多いようなイメージもあるが、意外にも監査法人出身の人は少ないという結果となった。

金融ファームに関しては、外資金融ファームを経験している人材の方がCFOにつきやすいのかもしれない。

それは、ユニコーン企業を目指すグローバル思考が当たり前なスタートアップが増えてきたことも起因するのではないだろうか。

とはいえ、事業会社での就労を経験している人が多い。次は、スタートアップのCFOになった人たちがどのような職種を経験してきたかを見ていこう。

 

 

・経験職種別

 

やはりCFO人材となると半数がファイナンス業務に携わったことのある人なのは納得がいく。

ただ、ここで注目してもらいたいのは、経営企画・事業開発系の職種に携わったことのある人が10人いるという事実だ。

冒頭でもお伝えした通り、CFOは“C”を担うため、CEOと同じくらいの事業スキル・経営スキルを持っておく必要がある。

もしかしたらスタートアップの中には、ファイナンスの知識だけでCFOをしている人もいるかもしれない。

しかし、基本的には財務戦略を考える必要のあるCFOのため、経営に関わったことのある人材の方がCFOとして重宝されやすいだろう。

また、CFOのみならずCOOも兼任しているCFOもいる。
CFOは、もはやファイナンスだけでなく 組織全体を俯瞰できる能力 が必要とされてくる時代である。

 

 

・役員経験数

 

現在の企業価値100億円以上の未上場スタートアップのCFOは、今回が「初めての執行役員職」という人が半数以上を占めている。

しかし、1回以上役員を経験したことのある人も同じ数だけいることに注目するべきである。

やはり、スタートアップのCFOとなる人は、会社全体のことを見ることのできるポジションを一度は経験しておく必要があるのではないだろうか。

そして、役員の経験に合わせて

現在企業価値100億円以上のスタートアップのCFOをしている人たちが“これまでCFOを経験してきたのか”を調査したところ、

なんと24人中6人が過去に別のスタートアップないし企業でCFOを経験していた。

スタートアップのCFOとして上場やバイアウトといったEXITに導いた敏腕CFOが、また別のスタートアップの成功を後押しする循環。

スタートアップCFOのその後のキャリアを考えると妥当ではあるが、反面スタートアップのCFOという業務がいかに難しいのか、人が足りていないのかがわかる結果でもあった。

また、スタートアップのCFOになるまで役員の経験はないがマネージャクラスのポジションを経験してきた人はなんと24人中16人であった。

7割以上のCFOが、過去に部署あるいは組織のトップとして全体を統括してきた経験を持っているということになる。

 

 

注目のスタートアップCFO

ここまで、スタートアップのCFOになるまでのキャリアの積み方を、現役のCFOたちの経歴から分析してきた。
しかし、単に集合知だけでなく具体例を知るべきだと感じる。

そこで、今回はスタートアップCFO24人の中から、

これまでに上場経験のある*スタートアップCFO」と「調達額が多い上位5名のスタートアップCFO」を取り上げていく。

*上場経験のあるとは、上場準備経験のあるCFOも含みます

スタートアップのCFOをするなら、上場させたい。

 

誰もが考えると思うからこそ、ぜひ上場経験のある人をあなたのロールモデルとしてキャリアの参考にしてもらえたらと思う。

(経歴部分にマーカーを引いてます)

 

・上場経験のあるスタートアップCFO

 

堅田 航平さん
スマートニュース株式会社

大学卒業後、インドにて英文校正スタートアップの立ち上げに参画。モルガン・スタンレー証券資産運用会社などを経て、2008年 ライフネット生命保険に入社。企画・事業開発・上場準備などを担当し、2013年より執行役員CFO。2014年、スマートニュースに入社、同8月より現職。趣味はトライアスロン、好きな動物はキリン。二児の父。

 

原田 健さん
BASE株式会社

早稲田大学商学部卒業後、大手ゼネコンにて経理財務業務を担当。2007年よりミクシィにジョインし、経理マネージャー、経営企画等の業務を担う。2013年に株式会社フリークアウトに入社。経営管理マネージャーとして2014年6月に同社のIPOに貢献。その後、経理財務、経営企画、IR業務全般を推進。
2015年6月にBASE株式会社にCFOとして参画、コーポレート業務全般を担当。

 

山本 隆三さん
株式会社エブリー

慶應義塾大学修士課程修了後、投資銀行においてM&Aアドバイザリー業務、資金調達業務、IR支援業務に従事。
2015年に株式会社メタップスに入社し、経営企画部としてIPO準備の最終段階から関わり、上場後はIR体制の構築、M&A、資金調達、管理会計、事業計画立案業務等を主導。
2017年に株式会社エブリー入社。2018年に執行役員CFOに就任。

 

柴田 正博さん
株式会社パネイル

株式会社カイオム・バイオサイエンスアイビーシー株式会社において、同社の株式公開に従事。その後、BIJIN&Co.株式会社maneoマーケット株式会社において、株式公開準備に従事。
2016年7月、株式会社パネイル参画、財務経理部長

 

 

・調達額が多い上位5名のスタートアップCFO

 

freee株式会社 東後 澄人さん 総額160.5億円の調達を完了

東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科化学システム工学専攻を修了。大学院では、宇宙航空研究開発機構において次世代ハイブリッドロケット推進薬の研究開発を行う。
卒業後は、McKinsey & Company にて、IT・テクノロジー・製造業界を中心とした多数のプロジェクトを担当。中長期経営戦略から現場オペレーション・サプライチェーン改革まで、幅広い課題に取り組む。
2010年2月から、Googleにて日本の中小企業向けマーケティング及びGoogleマップのパートナーシップ・ビジネス開発に従事。中小企業向けマーケティングでは「みんなのビジネスオンライン」のプロジェクト立ち上げから推進まで全体を統括し、中小企業マーケットに深い知見を持つ。その後、2013年7月より freee 株式会社に参画。

 

野崎 順平さん ispace 総額101億円の大型増資を決めた

大学卒業後、米系証券会社(メリルリンチ)にて10年超に亘り主に自動車セクター・石油セクターを担当し、資金調達・IPO・M&A等のアドバイザリ業務を行う。ispaceでは主に財務・資金のマネジメントを担当。東京大学文学部社会心理学専修課程卒業。

 

堅田 航平さん スマートニュース株式会社  総額86.8億円の増資に貢献

*以下略

 

小泉 泰郎さん  株式会社FiNCテクノロジーズ  累計68億円の増資を決める

株式会社FiNC Technologies代表取締役CFO兼CIO
東京大学経済学部経済学科卒。米ダートマス大学エイモスタック経営大学院経営学修士取得。1986年に日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。1999年にゴールドマン・サックス証券に入社し、資本市場本部共同本部長兼公共セクターインフラユーティリティーセクター本部長を務めた。他にも、ISAK発起人、TABLE FOR TWO Internationalアドバイザー、パーソナリティモビリティーを標榜するベンチャー企業Whillのアドバイザー、FC今治のアドバイザリーボード幹事など多方面で活躍。東京大学在学中はサッカー部で副将を務めた

 

伊藤 祐一郎さん  株式会社フィナテキスト  累計60億円の増資に貢献

東京大学経済学部卒業。2010年よりUBS投資銀行本部において、IPOやグローバルM&Aをリード。2013年より連続3年でグローバルトップ5%の評価を獲得し続ける