近年は様々なベンチャーの分野が注目され、投資家から多額の資金が集まる時代となった。ブロックチェーン、AI、VR、ドローン・・・
そして、近年投資家のみならず国、世界が注目している分野がある。

それが、宇宙ベンチャーだ。

2018年は宇宙ベンチャーが立て続けに資金調達を完了し、調達ラッシュが起こっていた。

また、同年内閣府から宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージも発表された。日本政策投資銀行や産業革新機構、官民などが5年間で約1000億円を供給するというものだ。

まさに国を挙げての宇宙ベンチャー支援といえるだろう。

国までをも熱狂させている宇宙ベンチャー。その魅力を紐解いていこう。

 

国内外の宇宙ベンチャーの動向について

 

「宇宙」と聞いて、皆さんも容易に思いつくキーワードとしては何か。

「スケールが大きい」「壮大さ」「果てしない」という広大なイメージではないだろうか。

それもそのはず、世界的に見ても2010年に27兆円だった宇宙ビジネス市場も今や約40兆円にまで膨れ上がり、2030年には70兆円以上、100兆円に近い市場規模になると言われている。

宇宙と言われて思いつきやすいロケットや人工衛星の製造といった領域のビジネスは全体のほんの10%にも満たない

一方で、人工衛星のデータ活用や衛星のテレビサービスといった“宇宙を利用するビジネス”と呼ばれる宇宙利用市場全体の35%以上を占めている

手の届かない存在であった宇宙が、現代では手を伸ばせば届くまでの距離へと存在感を変えている。

宇宙市場の成長率は3%と全体の市場の成長率と比べても高く、今後も成長すると予測されている今注目の市場なのである。

 

日本の宇宙ビジネス市場はどうなっているかというと、昨年時点で1.2兆円

宇宙インフラ市場の9割が政府レベルの需要と、海外と比較しても遅れをとっている状況である。

そのため、内閣府は2018年に、日本国内の宇宙ビジネスの創出を高めるためにも「宇宙産業ビジョン2030」を掲げて、第4次産業でもある宇宙ビジネスの後押し支援を行う姿勢を発表した。

まずは、そんな宇宙ベンチャーブームの日本にどういった企業があるのか、最近の動向も含めて見ていこう。

 

日本の宇宙ベンチャーの最近の動向と成果について

 

日本の宇宙ベンチャーは資金調達ラッシュが起こっていると前述した。

宇宙ベンチャーでの資金調達で業界にインパクトを与えたのはやはり、ispaceが2017年にシリーズAで101.5億円もの大金を調達したニュースではないだろうか。

研究開発をはじめ、こういったビジネスは初期投資がかかるため、調達額が大きくなるのはわかる。

しかしそれでも、宇宙という壮大なビジネスに対してここまで投資家がお金を積むというのは、それだけ投資家たちの期待が大きいということが見て取れる。

ちなみに、この101.5億円という調達額は国内のみならず世界的に見ても過去最高調達額*だそう。
(*宇宙分野でかつシリーズAという条件下のもと)

月探査ミッションを行うispaceだが、月探査の目的としては新たに利用可能な資源を見つけることだが、一般人の私には文面では理解できても少し思考が追いつかない部分もある。

また、今年に入って宇宙ビジネスで大きな話題を呼んだのは、ホリエモンこと堀江貴文さんも投資をしている北海道ベンチャーのインターステラテクノロジズ(以下IST)の小型ロケット、「MOMO」3号機が打ち上げに成功したニュースではないだろうか。

2017年からこれまで2度の打ち上げを実施しており、今回3度目にしてめでたく打ち上げに成功した。

これは、民間企業では単独の成果で、さらに国内初となる偉業でもある。

民間企業により低コストでの打ち上げは小型衛星の打ち上げ事業参入へと大きな第一歩となった。
次の打ち上げ予定は2022年。次回の打ち上げにも期待したいところである。

 

そんな中、2020年の衛星打ち上げ予定を発表した新鋭ベンチャー「Synspective(シンスペクティヴ)」にも注目が集まる。

同社は2018年2月に設立したばかりの新しいベンチャー企業。

創設メンバーたちは、もともと内閣府の革新的研究開発プログラム「ImPACT」で「合成開口レーダー(SAR)」というレーダーを使って地表を観測する装置を積んでいる“StriX-α”のもととなる技術の研究・開発を行っていた。

そして、この“StriX-α”を事業化するために立ち上げられたのである。

レーダーで撮影されたデータは、経済活動の視覚化と予測、地形と地質構造の観察、災害時などの早急な状況把握などに活用できるため、企業や政府機関が持続可能な開発・復興計画の実現を後押しすることができる。

このように、日本では様々な宇宙ベンチャーが立ち上がり、そして世界を、私たちの世界に変革を興そうとしているのである。

だがしかし、国内の宇宙市場規模と比較しても世界の方が市場規模ははるかに大きい。
次は海外の宇宙ベンチャーの動向を見ていこう。

 

 

海外の宇宙ベンチャーの動きと実績

 

海外はやはり市場規模が大きいだけに、それぞれの会社が宇宙ビジネスに投じる金額も桁違いで、打ち上げ成功の実績もある。

何よりも、宇宙ビジネスに早くから着手しているというスピード感という点で、日本より何歩も先を行っているという力の差を見せつけられている。

 

海外の宇宙ベンチャーで誰もが一度は耳にしたことのある企業といえば、テスラ・モーターズのCEOでありPayPalの創業者でもあるイーロン・マスクさんによって立ち上がった「SpaceX」ではないだろうか。

再使用できるロケットを使用して従来の半分の価格で、ロケットの打ち上げを提供するアメリカの企業である。

2018年2月に世界最大規模のファルコンヘビーロケットの打上げに成功した。

 

また、SpaceXの創業メンバーによって立ち上げられた小型衛星専用ロケット開発会社のVector Space Systemsにも注目が集まる。

同社も価格や打ち上げ時間の柔軟さなどを強みに小型衛星用のロケット開発を行っている。

インターネット通販大手アマゾン・コムの最高経営責任者CEOであるジェフ・ベゾスさんも、2000年に宇宙ベンチャー「ブルーオリジン」を創業。

首都ワシントンで独自の月着陸機「ブルームーン」を開発すると今年の5月に発表した。

同社によると、ブルームーンで、宇宙飛行士を乗せた宇宙船を5年以内に月面に着陸させる計画を立てているようだ。

民間人を乗せた打ち上げる計画は、SpaceXも発表しており、2023年打ち上げを予定している。最初の搭乗車として、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する前澤友作社長が選抜されたニュースも話題となった。

 

ロケット開発・打ち上げサービスを提供するアメリカのベンチャー企業を紹介したが、それだけではない。

GoogleやFacebookが新たなビジネスチャンスと考えて投資を行なっている、衛星による通信サービスを提供するベンチャー企業にも注目してもらいたい。

 

2012年に設立されたOneWebという衛星通信サービス会社。

2018年までに648基の衛星の衛星を打ち上げて、地球規模にインターネット環境を提供する計画だったが、2016年12月にソフトバンクから10億ドルもの出資を受けた背景を受け、さらに2000基の衛星を追加することを決めた。

これらの投資動向や実績を見ると、世界的に見ても宇宙ビジネスが成長市場の一つであるとともに投資家や国の期待を大きく背負っているというのがわかるだろう。

 

これからの宇宙ビジネスはどうなっていくのか

 

さて、そんな宇宙ビジネスだが展望はどうなっているのか。

宇宙ビジネスは他の市場と比べても参入障壁が非常に高い

宇宙業界の中で世界と戦っていくためには数十億数百億という単位の資金が必要である。

また、ロケット開発や打ち上げの事業に関しては、失敗するとたったの1回で100億円が吹っ飛ぶという大きなリスクを抱えている。

宇宙ビジネスをしていくためには、どれだけ潤沢な資金を維持して投資し続けられるかが鍵となってくるだろう

一方で、宇宙には通信やビックデータという市場も存在している。地球内か宇宙か、フィールドが異なるだけでインターネットには変わりない。

そのため、多くのベンチャー企業が参入できる余地のある市場である。

こうした宇宙市場でのインターネットの活用やベンチャー企業の取り組みは、農業や林業といった一次産業に大きく貢献する

また、前述でも例に出したように、復興計画や国単位での政策にも寄与する。

宇宙から様々な領域にマーケット拡大することのできる市場となっているため、投資家の期待も大きく、それに比例するように成長率も高いのである。

これまで宇宙というのは、手の届かない存在であった。
しかし今や、民間人が宇宙旅行に行く計画を立てることができ、そして宇宙に住むという壮大な計画が世界のどこかで進められている。

限りなく私たちの日常に近づいてきた、いや、技術革新により私たちが宇宙に近づいた。

まだ私たちにとっては雲の上の話にも聞こえるかもしれない宇宙ビジネスも、明日にはすぐそばの存在になる時が近い将来訪れるだろう。

 

 

参照URL一覧

宇宙ベンチャー支援策について
https://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai67/siryou2-1.pdf

宇宙ビジネスとは~業界マップ、ビジネスモデル、注目企業、市場規模~
https://sorabatake.jp/216/

宇宙産業ビジョン 2030
https://www8.cao.go.jp/space/vision/mbrlistsitu.pdf

日本の宇宙スタートアップ「Synspective」、2020年に衛星打ち上げへ。レーダーによる地球観測と宇宙ビッグデータの可能性
https://hbol.jp/191251

宇宙ビジネスまとめ
https://www.sbbit.jp/article/cont1/34470

米宇宙ベンチャーが月着陸機開発へ アマゾンCEOのベゾス氏が創業
https://mainichi.jp/articles/20190510/k00/00m/030/037000c

“5年以内に飛行士載せた宇宙船を月面着陸”米ベンチャー
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190510/amp/k10011910991000.html

ホリエモンロケット、打ち上げ成功 民間単独で国内初
https://www.asahi.com/articles/ASM521W3BM52ULBJ007.html

15歳のニュース「MOMO」打ち上げ成功 民間ロケット、日本で初
http://mainichi.jp/articles/20190511/dbg/048/040/006000c

宇宙ビジネス×ベンチャー企業一覧アメリカ編 2017
https://sorabatake.jp/506/