ICOによる調達は是か非か?ICO事例から学ぶベンチャー企業の成長ポイント


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今回は、今話題となっている「仮想通貨を発行して資金を調達する」ICOについて見ていきたいと思います。

スタートアップの資金調達方法といえば
「自己資金・銀行から融資・VCからの調達」という3つの選択肢でしたが
今では
「自己資金・銀行から融資・VCからの調達・ICO」となってきました。

ICOで資金調達を行うことはベンチャーにとって良いのか?

これまでの事例から考えていきます。

 

エブセレ運営者/代表
VCとスタートアップのことをひたすら調べてまとめることが好き。
「成長企業ランキング」を書いている。
スタートアップ界隈で起きたニュースに関してやVCのことへの考察などを書いたnoteはこちら

 

 

そもそもICOって何?

〜今更聞けないICOをさらっとおさらい〜

 

用語説明「ICO」

ICOとは、「独自の仮想通貨(トークン)を発行して暗号通貨取引所に上場、資金を調達する」新しい調達方法の一つです。
VCやエンジェルからの調達と異なり、仮想通貨は誰でも購入することができるので
私たちでも投資家の一人としてICOに参加することができます。

ICOは誰でも簡単に参加することができます。
よく聞くVCからの資金調達は対スタートアップ(企業)のみですが、
ICOは企業のみならず、プロダクトやサービスにも適応されるため
クラウドファンディングに近い仕組みです。

ICO=クラウドファンディング with 独自の仮想通過

といったイメージです。

ICOの調達ラッシュは凄まじく、最近でも何百億もの大金が集められていると注目を浴びていますね。

ICOによる調達はいかほどか?ICOでの調達の事例からその実態を見ていきます。

 

メタモ株式会社

トークン販売期間:2017年8月15日〜2017年9月1日
受け入れ可能コイン:BTC/ETH(Ethereum)
調達額:3万ドル(約300万)
ICO参加者:54人(うち8割が海外)

メタモは、職歴や学業の取り組みを始めとした個人が持つスキルを可視化することのできる
「Metamo Card(メタモ・カード)」の発行を行い、就労実績を客観的に評価出来るというサービスを提供しているスタートアップです。
メタモのこのICOは日本国内企業において第1号案件でした。

 

調達が思うように伸びなかった理由

  • Metamoトークンの価値上昇の不明確さ

ICOでは、私たちが独自の仮想通貨であるトークンを購入する際に「ホワイトペーパー」というものを判断材料とします。

ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、上場されるトークンや企業のビジネスモデル、技術的優位性や社会的価値など
企業やプロダクトにまつわるプランが記載されている書類のことです。
この、ホワイトペーパーをもとに投資家を募ります。

メタモのホワイトペーパー(P16~)では、発行される「Metamoトークン」の価値についての記載が明確にされておらず、いまいち投資家の人々にトークンの良さが伝わらなったのです。

VCからの調達とは異なり、ICOでは多くの人が参加出来るので
投資家の母集団は増えるという点でメリットかもしれませんが、
逆を言えば、私たちに対して
「どんな価値があるのか」「ICOに参加することで得られるもの」
具体的に示す必要がありそうですね。

  • PR/マーケティング不足

メタモはICOの期間が2週間程度と短いものでした。
ICOの調達ランキングに出てくる企業を見ていてもおおよその期間は短くても1ヶ月くらいのICOが多いです。
さらに、ニュースリリースもプレスリリース配信代行サービスで行っただけという簡易なもののみでした。

ICOによる調達の成功は必ずしも参加者が誰なのか、どれくらいの人数が参加しているのかだけではありませんが、それらもトークンの価値を図る基準の一つとなっているのが現状です。

知名度の低いスタートアップやプロダクトがICOによる調達で成功するためには
私たちへのマーケティングが大きなカギを握りそうです。

 

QUOINE株式会社

トークン販売期間:2017年11月6日〜2017年12月6日
受け入れ可能コイン:ETH(Ethereum)
調達額:124億円
ICO参加者:約5000人(うち1000人が国内)

元々シンガポールで仮想通貨取引所を運営していたQuoineが日本にも進出してきた形です。
QUOINE株式会社は仮想通貨取引所のプラットフォームを提供するスタートアップです。
2016年6月20日にジャフコをリードインベスターとした、総額17億円の資金調達も完了している企業です。

 

3日間で120億円!?調達が成功した理由

  • 投資家に優しいホワイトペーパー

QUOINEのホワイトペーパーには、独自仮想通貨のQASHトークンセールについて詳細に記載されています(P28~)。また、トークンを保持する者にとってどのような利益があるのか、上場のロードマップも細かに記載されています。

こういった情報は、トークンを購入する私たちにとっては大切なものであり
購入における意思決定の重要な指標となりますね。

  • ICO時にサーバーダウンしなかった

どんなICOでも最初のトークンセールで多くはサーバーダウンしてしまいます。
日本でICOとして知られているCOMSAも取引開始直後は3日間ほどサーバーダウンしていました。(結果的には100億以上集まり大成功を収めたICOの一つですが)
サーバーダウン=トークン取引不可能=ICOの成功率低下につながるため、ICOを行う企業にとっては致命的です。
QUOINEには高速取引を可能にする技術があったため、サーバーダウンすることなく多額の調達を可能にしました。

その他の理由としては、上記でもお伝えしましたが
QUOINE株式会社はICOよりも前にVCからの資金調達を行っていたこと、
また、サービスをすでにリリースしていた点も含めて一定の知名度があったこと、
経営陣がグローバルバンク出身者が多くメンバーが優れていたことからも
ICOが成功した要因の一つと考えられます。

スタートアップがICOで調達をすることは、

・多くの投資家を対象に資金を調達できるという点
・独自のトークンを発行するだけで行えるという利便性
・トークンを購入してくれた多くの人に価値を提供できる点

からVCからの調達よりも簡単かつ有益のようにも見えますが、
誰でも最高の成果を得られるくらい簡単なものではありません。

ICOで調達、といえども
プロダクトがどのようなものか、ベンチャー企業は今後どうなっていくのかという将来性など
VCに対して行うピッチまでとはいかないものの、明確な情報を私たち一般の投資家に伝えられるかどうかが鍵となってきます。

また、ICOによる調達はどれだけ一般投資家に認知されているか、認知されるかも重要な鍵となってきます。

そもそもICOによる調達が盛んになってきている一方、仮想通貨に関する様々な問題も生じている今。
より多くの正確な情報開示がスタートアップに求められていきます。
そして、情報の提供により認知度は高まっていきます。

包み隠さず真実を伝えられることが
成功への近道なのではないでしょうか。