*2020年1月8日更新
メルカリの上場で、ストックオプションに注目が集まりましたね!
経営幹部でなくても「億り人」なる可能性の高い、夢のあるストックオプション。
今回は、ベンチャー業界では耳にすることがある「ストックオプション(SO)」というものに注目して「ベンチャー社員にとってどういう価値があるのか」を見ていくとともにベンチャー企業成長の法則をお伝えします。
エブセレ運営者/代表
VCとスタートアップのことに精通しており、
これまで学生から50代まで累計1000人以上のキャリア相談を
受けてきた20代女性起業家
実際にベンチャーで働きたい相談から、
そもそもベンチャーってどういうの?まで幅広くお話伺います。
目次
用語説明 「ストックオプション(SO)」

「ストックオプション(SO) 」とは
会社の役員や社員が保持する「予め決められた価格で自社株を買うことができる権利」のことです。
VCや個人投資家の人たちが持つ株式とは少し性質が異なります。
ストックオプションは株式ではなく、株式を購入することができる「権利」です。
ストックオプションは社員へのボーナス・インセンティブとして利用する会社が多いです。
3年後上場時に一株が10,000円になっていたら9,900円得をしたということになります。
会社のサービス業績が伸びたり、成長することで会社の価値=株価が上がりますよね。
会社の価値が上がることで、ストックオプションの価値も上がります。
そして、特にこれから急速な成長が見込めるベンチャー企業にとってストックオプションは
株価が急激に上がる・莫大な利益を生む可能性の高い優良株となるのです。

創業したてで売上が立たず、十分な給料が支払えないベンチャー企業にとって
社員の人たちのモチベーションをあげるために何があるだろう…?
そんな時に登場するのがストックオプションです!
先ほどもお伝えしましたが、ストックオプションは会社の成長とともに価値が上がるものです。
現在の報酬に取って代わるとともに、上場という大きな目標を掲げるベンチャー企業にとっては
従業員のモチベーションを高めるために大きな役割を果たすのです。
具体的に教えて!ストックオプション
ストックオプションは、会社が上場した後に行使できる権利(買って売る)です。
予め決められている価格で購入し、売却時の株価と決められていた価格の差額が利益となります。
上場後にストックオプションで得られる価値を計算するには、どのタイミングで買っていくらで売る〜など考えるのではなく、上場時の時価総額で考えるのが一番カンタンでわかりやすいです。
ストックオプションは「株式を買う権利」とお伝えしましたが、社内の株式をどれだけ保有しているかと同じ意味を持ちます。
ですので、上場時の時価総額×ストックオプション(%)でいくらもらえるかを計算します。
もっといえば、上場時の時価総額とは「上場時の時価の総額=会社の株式100%分の価値」と置き換えるとわかりやすいですね。
基本的に上場するためには、どの市場に上場するかにもよりますが「時価総額の基準」が定められています。(詳しくはこちら)
そして、最近のベンチャー企業の傾向では「上場時の時価総額は100億円以上」であることが多いです。
この場合に、仮に1%のストックオプションを保有していたらどうなるのか?
(時価総額)10,000,000,000×(保有ストックオプション)0.01=100,000,000
上場時に*約1億円が手に入るという計算になるのです!
会社全体でストックオプションの発行割合は10%程度です。
そして、CxOの社員さんには1%ずつほどストックオプションが分配されます。(CFO、COO、CMO、CTOで3〜4%)
そして、残りの6〜7%が各従業員に配られます。仮に0.1%の保有でも、1000万が手に入るということになります。
ではこのストックオプションですが、ベンチャーで働く人にとって「モチベーションを高める」以外にどんな価値があると思いますか?
ストックオプションは、ベンチャー企業の代表からあなたへの「期待値」を表しています。そして、あなたに対する「未来の投資」です。
ストックオプションには、優秀な社員さんを雇うための効力があります。
ベンチャーの代表にとって株式は命の次に大切なものです。その株式を社員さんに渡すということは、血肉を分け合うに等しい儀式です。
「一緒に会社を大きくしていきましょう」
「あなたにはこれだけの価値があります」
「あなたにこれだけの会社の価値を将来お渡しすることを約束します」
社長の想いが詰まっているのがストックオプションなのです。
また、ストップオプションを発行しているかどうかでそのベンチャー企業が成長フェーズにある(あるいは成長曲線が見えている)かどうかを把握することもできます。
つまり、ベンチャー企業で働く人にとってストックオプションは
①会社から自分への期待値を図ることのできるものさし
②会社の業績が良い・成長していると把握できる
③会社の成長とともに、利益率も上がる打ち出の小槌
の3つの役割を持っています。
起業家の人たちがストックオプションを扱うには少し注意が必要です。
ストックオプションは、いくらでも誰でも発行していいものではありません。
ストックオプションの設計、つまり「誰に何%、どういう理由で発行するか」を明確にしておく必要があるからです。
社内の飲み会などで、「他の人はもらっていて自分だけもらっていない」「他の人に比べて自分は保有ストックオプションが少ない」などといった事実を知ってしまうと
会社や起業家に対して、わだかまりや不信感、時には苛立ちを感じてしまう従業員もいるかもしれません。
そうならないためにも、説明責任を問われた時にきちんとした理由を伝えられるようにしておく必要があります。
また、起業家自身は、ストックオプションには「税制適格」という事項があることをしっかりと検討しておく必要があります。
もし、この税制適格を理解せずに従業員のモチベーションを上げるためだけに急いで役員・従業員に渡してしまうと、多額の課税をされてしまい、思ったより利益を得られないまま終わってしまう可能性も含んでいるのです。
Judge100成長の法則
社内でのストックオプション発行率
「社内でのストックオプション発行率が高い」ベンチャー企業は
従業員へのインセンティブがきちんと与えられている
次のラウンドに進む資本政策が立てられている
業績が伸びている
ということが言えます。
上記で「従業員のインセンティブ」の話もしましたが、インセンティブになるだけあって取り扱いにも注意が必要です。
ストックオプションを発行するには会社の将来的な税務もしっかりと把握している経営者でないと扱うことができません。
つまり、将来の資本政策もきちんと考えられている経営者だということがわかります。
このように、会社の制度には様々な要因が絡んでいますが
そんな制度設計にも注目してスタートアップを探してみるのはいかがでしょうか?